床暖房や温浴施設も完備! 古代ローマ貴族の大邸宅跡がフランスで一般公開へ

フランス国立予防考古学研究所(INRAP)の考古学者たちは、フランス中央部にあるオセール市付近で古代ローマ時代の大邸宅跡を発掘したと発表。6月15日の「ヨーロッパ考古学の日」に一般公開される。

フランス・ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏で発掘された古代ローマの大邸宅の温浴施設部分。Photo: Instagram/inrap

フランス中央部、ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏のオセール市から約3キロメートル離れた場所で、大規模な古代ローマ時代の邸宅を発掘したとフランス国立予防考古学研究所(INRAP)が発表した。

この遺跡は19世紀に存在は認識されていたが大きな調査は行われず、1966年に砂利採取の際に決定的な遺物が見つかり、そこから本格的な発掘調査が始まった。

その結果、700平方メートル超の巨大な長方形の建物が発掘された。家具類などから紀元1世紀から4世紀のものと推測されるこの建物には10の部屋があり、そのうち1つの壁の上部には、ドーム状にくり抜かれる装飾「アプス」が施されていた。そのほか建物内部からは、ハイポコースト(床下暖房システム)や、かつてモザイクがあったと考えられる空間が見つかった。

フランス・ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏で発掘された古代ローマの大邸宅全景。Photo: © Christophe Fouquin, Inrap
古代ローマの大邸宅全景Photo: Instagram/inrap
大邸宅、東側の温浴施設跡。Photo: Instagram/inrap
温浴施設部分の調査の様子。Photo: Instagram/inrap

だが調査を続けると、これはもっと巨大な邸宅の一部であることが判明した。敷地は4000平方メートルに及んでおり、周囲は塀で囲まれていた。敷地内には北に水盤、南に噴水を備えた450平方メートルの正方形の庭園があり、庭園が見える位置に多くの接客室や作業室、そして厨房が設けられていた。また、東側には古代ローマの生活には欠かせない温浴施設跡も確認された。

この広大な居住区内には、パルス・ウルバナと呼ばれる住居区域と、パルス・ルスティカと呼ばれる農業区域の両方が存在することも分かった。この邸宅の持ち主について、プロジェクトの主任考古学者アレクサンドル・ブルジェヴァンは、「おそらく政治的に影響力のある貴族で、敷地内で農業を行っていたと考えられますが、詳細についてはまだ判明していません」と話す。

古代ローマ時代、遺跡が見つかったオセール市はアウテッシオドゥルムと呼ばれており、紀元1世紀初頭に集落が生まれ、紀元4世紀には州都となるまでに発展した。研究者らは、その時代の都市の発展や、集落の日常生活を知るために同遺跡のさらなる調査を行う計画だ。

また、同遺跡は6月15日の「ヨーロッパ考古学の日」に一般公開される予定で、考古学者によるガイドツアーも行われる。(翻訳:編集部)

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