バンクシーの新作が「落書き」されるも無事。新作は亡き友人へのメッセージか
5月29日にバンクシーがフランス・マルセイユで半年ぶりとなる新作を発表。その2日後、31日から6月1日にかけての夜に、作品に落書きがされているのが見つかった。

5月29日、バンクシーがフランス・マルセイユの海沿いにあるカタラン地区で新作を発表した。通りに設置された車止めのポールの影の延長線上の壁に光を放つ灯台を描き、「I WANT TO BE WHAT YOU SAW IN ME(あなたが私の中に見てくれたものに私はなりたい)」という言葉を添えている。
だが発表して間も無く、5月31日から6月1日にかけての夜に何者かによって落書きされているのが見つかった。ル・フィガロが伝えるところによると、灯台を男性器に見立てたようで、紫の顔料で灯台の下部分に一対の睾丸が描き加えられている。1日の朝、バンクシーの新作を保護するためにマルセイユを訪れていた文化財装飾画家アグネス・ペローネの手により落書きは迅速に修復され、昼には再び公開された。

ペローネはAFPの取材に対して、「落書きをした彼らは、作品を監視する私が寝るまで待って、とても遅くに灯台に大きな落書きを追加したのです。本当に馬鹿げています。でも、私はマルセイユ出身なので慣れています。ここではグラフィティと戦うのは国民的スポーツみたいなものですから」と話した。
ペローネの言う通り、文化の交差点として発展した港町マルセイユは、1980年代から地域の壁がグラフィティで埋め尽くされるようになった。その中にはC215、ミスター・チャット、Seek313など有名アーティストのものもあり、現在は世界的に知られるグラフィティの聖地となっている。
普段、バンクシーは作品を通して戦争、資本主義、社会統制、人権といったテーマについて、しばしば強く挑発的なメッセージを伝えているが、今回の新作は控えめで彼らしくないという意見がSNSでも多く聞かれた。その理由について、FREQUENCE-Sud.FRは、彼がマルセイユを訪れたのは、最近亡くなった親しい友人でメンターだった人物への追悼のためだったと報じている。作品に添えられた言葉「I WANT TO BE WHAT YOU SAW IN ME(あなたが私の中に見てくれたものに私はなりたい)」は故人に対する哀悼のメッセージなのかもしれない。