史上初! 織田信長ら時の覇者が魅了された天下一の名香「蘭奢待」の香りを再現、特別展「正倉院 THE SHOW」で初公開
大阪歴史博物館で開催される「正倉院 THE SHOW—感じる。いま、ここにある奇跡—」展にて、時の権力者が魅了された香木「蘭奢待」の香りが初公開される。

大阪歴史博物館で6月14日より開催される「正倉院 THE SHOW—感じる。いま、ここにある奇跡—」展にて、天下第一の香木「蘭奢待(らんじゃたい)」の香りが初公開される。
蘭奢待は、正倉院の宝物であり(宝物名・黄熟香)、織田信長や足利義満・義政など、戦国の為政者が天皇に許可を乞い、その一部を切り取り、香りを愛でたと言われる香木・沈香(じんこう)だ。ジンチョウゲ科の樹木に傷がつくことで樹脂などが沈着し、時を経ると芳香を放つようになる。これを沈香(アガーウッド、ウード)という。中でも特に良い香りを放つ最高品質のものを伽羅(きゃら)と呼び、こちらも徳川家康が愛し、収集したという。沈香の香りは奥深い上品な甘さで、鼻腔をくすぐり、どこかとろけるような鼻あたりだ。熱せられることで香りを放ち、香道や線香で用いられる。
沈香でさえ得も言われぬ芳香なのに、正倉院に収められている蘭奢待の香りはどんな香りなのか想像がつかない。その香りを香料会社・高砂香料工業が協力して再現したのが今回の展示だ。同社の調香師が、正倉院に以前から保管されてきた蘭奢待の「脱落片」を使用し、成分分析などの詳しい調査を実施。そしてついに歴史上初めて蘭奢待の香りが再現され、衆目(鼻か?)に披露される。会場には再現した香料の入ったガラス容器が設置され、カバーを取って香りを楽しめる。ちなみに脱落片は幅およそ1mm、長さ数mmのごく小さなものだが、調香師が加熱したところ「経験したことのない独特の香り」が立ち上ったという。

また7月26日13:30から同館にて、プロジェクトに関わった宮内庁の中村力也、高砂香料工業の管原俊二、京都大学名誉教授の高部圭司によるトークイベントが開催される。香りの再現の詳細について語られる貴重なイベントだ。定員250名、要チケット(観賞券付き2800円)。
嗅覚は脳に届くスピードが最も速い感覚という。時の権力者が愛した蘭奢待の芳香体験という、未知の領域に触れるまたとない貴重な機会だ。
特別展「正倉院 THE SHOW —感じる。いま、ここにある奇跡—」
会場:大阪歴史博物館(大阪府大阪市中央区大手前4-1-32)
会期:2025年6月14日(土)~8月24日(日)
時間:9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:火曜日(8月12日は開館)
料金:大人2000円、大高生1500円、中小学生1000円
